


明治時代以降、浮世絵は日本では軽視され、多量の作品が海外に散逸した。この為、絵画作品としての浮世絵研究にあっては、正当かつ体系的・学問的な研究は為されておらず、個々の収集家や研究者によって、知見の異なる主張が部分的・断続的に繰り返されるのみである。 また、鈴木春信、喜多川歌麿等の作品を始め、多くの有名作品の偽造品が流通してしまった経緯が江戸時代当時から存在している。
一方、欧米諸国では浮世絵は、印象派の巨匠たちに見出されて高く評価され、その作品に影響を与え、油絵による模写もされている。欧米一流美術館20館以上に、20万点以上は収蔵されていると見られ、それ以外に個人コレクションもあり、外国美術品としてこれだけ収集されているのは浮世絵だけである。ボストン美術館には5万点、プーシキン美術館には3万点など、万点以上収蔵しているところも少なくない。
色鮮やかな版画群は、世界で浮世絵だけであり、西洋美術にもこの分野はないことが評価につながっていると思われる。また大量の流失品には、歌麿をはじめとする比較的簡潔な構図が多く、複雑な構図に極彩色の浮世絵は意外に少ない。国内には、海外流出分の何倍かは残っており、世界に稀に見る芸術作品群として、西洋の評価だけにとらわれない更なる研究が進むことが望まれている。
また中世の庶民の多様な生活を描き、記録している資料は世界に浮世絵しかないことも貴重である。 明治時代の文献によると、無名の絵師を含めると二千人近い絵師がその当時までにいたということである。当時は一作品に百から二百枚は摺ることもあり、膨大な浮世絵が市中に出回っていて、高品質の芸術品がこれほど庶民の間で広まっていたのも世界に例がない。
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